【販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い】不動産業における棚卸資産の評価

「販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い」の位置付け

基本的に販売用不動産等の評価に関しては、他の棚卸資産と同様に企業会計基準第9号棚卸資産の評価に関する会計基準に準拠することになる。「販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い」は、あくまで販売用不動産等の評価に関する基本的な考え方と監査上の取扱いを示すものとしての位置付けであるが、実務上は当該取扱いに準拠して評価を実施する必要がある。そのため、棚卸資産の評価に関する会計基準を前提としつつ、販売用不動産等等の評価において考慮すべきものとして理解すればよい。

販売用不動産等の評価に関する基本的な考え方とその方法

販売用不動産等は通常の営業循環過程において販売することを目的としている資産であることから、正味売却価額によって評価することが適当と考えられている(2(2)項)。つまり、品質低下評価や陳腐化評価は想定しておらず、あくまで時価に基づく正味売却価額で評価することを求めていると理解されたい。

販売用不動産等については、開発を行うものと行わないものの2種類に大別できるが、それぞれ次のような方法で正味売却価額を算定する(3(1)(2)項)。また、算定にあたっての留意事項も参照されたい。

◾️開発を行わない不動産又は開発が完了した不動産

販売用不動産の正味売却価額=販売見込額△販売経費等見込額

◾️開発後販売する不動産

開発事業支出金等の正味売却価額=完成後販売見込額△(造成・建築工事原価今後発生見込額+販売経費等見込額)

(販売見込額について)
不動産は個別性が強いため、個別物件ごとに算定することが適当である。また、特定物件に対する正味売却価額の算定方法は毎期継続し、評価の前提条件に変更がない限りは前年と同一の算定方法による必要がある。以下、販売見込額の算定根拠例である。

①販売公表価格又は販売予定価格がある場合
当該販売公表価格又は販売予定価格を販売見込額とする。ただし、販売公表価格又は販売予定価格で販売する見込が乏しい物件については、販売可能見込額による。

②販売公表価格又は販売予定価格がない場合
次の評価額を基準にする。
a.「不動産鑑定評価基準」に基づいて算定した価額
b.一般に公表されている地価又は取引事例価格
公示価格、都道府県基準価格、路線価、固定資産税評価額、取引事例
c.収益還元価額

(販売経費等見込額について)
販売手数料、すなわち仲介手数料や広告宣伝費など。

(不動産開発計画の実現可能性について)
不動産開発は、開発行為を実施して付加価値を高めて投下資金を回収し、開発利益を得る事業である。そのため、開発計画の策定、着工から開発工事等の完了までに長期間を要し、また多額の資金を必要とする場合が多い。従って、開発計画の客観性、具体性、採算性について検討し、その合理性について十分な検討をしなければならない(4項)。

具体的には、次のような指針が示されており、これらに該当する場合には、基本的に開発計画の実現可能性はないと判断されることになる(4(3)項)。
・開発計画が、その立案時及びその後の状況変化により、明らかに合理性がない場合
・開発工事が一定期間延期又は中断され、次のような状況にある場合
①開発用の土地等の買収が完了しないため、開発工事の着工予定時から概ね5年を経過
②開発用の土地等の買収が完了しているが、買収後概ね5年を経過しても着工していない
③開発工事に着工したが、途中で工事を中断し、その後概ね2年を経過


関連する会計基準
監査・保証実務委員会報告第69号 販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い(平成21年2月27日)

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